工業化学雑誌
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アセト酢酸エチルのチタンキレート化合物
南 晋一高野 宏晃石野 俊夫
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1957 年 60 巻 11 号 p. 1406-1409

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抄録
エチルチタネートとアセト酢酸エチルをモル比1:1および1:2で反応させ,二つの新しいキレート化合物Ti(OC2H5)3(CH3COCHCOOC2H5)(A)とTi(OC2H5)2(CH3COCHCOOC2H5)2(B)をそれぞれ単離した。A,Bとも淡黄色をおびた結晶で非常に加水分解し易いことを認めた。氷点降下法による分子量測定の結果Aはべンゼン中で分子会合し,その最大会合数は約1.4であるに反し,Bには全然分子会合が認められなかった。これはキレート環の存在によるものと思われる。また,これら化合物の赤外線吸収スペクトルによってアセト酢酸エチルがエノール型で結合していることが確かめられ,紫外線吸収スペクトルにはキレート環によると思われる吸収が300mμ付近に認められた。なお,これに付随してエチルチタネートがエタノールおよびヘキサン中で230mμと305mμ付近にそれぞれ吸収をもつことが見出された。
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