工業化学雑誌
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タイヤコード用レーヨンの加熱くり返し伸張疲労試験による回折X線図および諸性質の変化
祖父江 寛福原 節雄
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1957 年 60 巻 5 号 p. 620-623

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抄録

タイヤコード用レーヨン(以下コードと略す)の加熱(180℃)くり返し伸張疲労強度試験(以下熱伸試験と略す)前後のコードの回折X 線強度分布, 吸湿量, 銅価, いわゆるラテラルオーダー( 以下L.O.と略す) 分布等を測定し次の結果をえた。(1)熱伸試験後002,101,101の回折X線積分強度は増加し002半価幅は減じた。これを加熱のみのコードと比較した。この結果,繊維軸に平行に近い伸張によりX線図に認められる結晶粒子の生長および結晶化が促進したものと推定した。(2)コードと天然繊維素,水和繊維素混舎物とのX線図を比較しコードは少量の天然繊維素を含む水和繊維素に類似することを認めた。この傾向は熱伸試験後顕著になったので, 加熱くり返し伸張により天然繊維素類似構造が生じたものと推定した。( 3 ) 吸湿量は熱伸試験または加熱のみによっても低下し銅価は増加した。また熱伸試験後L.O.分布は見掛け上低下した。( 4 ) 以上の結果と疲労強度との関係を検討した。

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