抄録
銅フタロシアニン青の芳香族溶媒中での結晶の転移成長性を防止する試みについては最近塩素置換法など,二,三知られているが,異種金属フタロシアニンを混入してその性質を改良する方法の詳細は不明である。著者らはこの点につき検討した結果,影響の大きくあらわれた混入異種金属フタロシアニンおよびその効果は次のとおりであった。耐溶剤性は鉄-, アルミニウム-, チタン-, スズ-, マグネシウムーフタロシアニンの混入によって向上する。耐光性は鉄-, アルミニウム- , スズ- , マグネシウム-, クロムーフタロシアニンの混入によって比較的弱くなる。色相は一般的に長波長側にずれるが,なかでも,鉄-,アルミニウム-,チタン-,ニッケル-,クロムーフタロシアニンはいちじるしい。また着色力はアルミニウム-, コバルト-, チタン-, クロムーフタロシアニンの混入によっていちじるしく減少する。亜鉛-, 鉄-フタロシアニンの場合は変化がなかった。その他の金属フタロシアニンの混入の場合は混入率の増加にしたがって着色力は減少した。