工業化学雑誌
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脱食塩エステル化反応による可塑剤の合成
山下 雄也島村 恒夫
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1959 年 62 巻 10 号 p. 1552-1555

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抄録

PVC可塑剤として有用な芳香核を持つ脂肪酸モノエステルの合成条件を検討した。クロルメチルナフタリンはナフタリンのクロルメチル化と混合メチルナフタリンの側鎖塩素化によりつくった。クロルメチルナフタリンと脂肪酸ナトリウムの脱食塩エステル化は無溶媒で第3 級アミン触媒の微量を用いるのがよい。この脱食塩エステル化反応における第3 級アミン触媒の反応機構を速度論的に追究し,第4級アンモニウム塩の生成が律速段階であることを証明した。第3級アミンとしてはピリジン, トリメチルアミン, トリエチルアミン, トリエタノールアミン, ヘキサメチレンテトラミン等がよい。160℃ではアミン0.1%,135℃ではアミン1%がよく,80%以上の収率が得られる。PVC可塑剤としてはナフタリンのクロルメチル化物のラウリン酸,オレイン酸エステルがよく,メチルナフタリンの側鎖塩素化物はβ体が多いため結晶性で不適当である。

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