工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
置換フェノールおよび置換アニリンに対するエチレンオキシド付加重合速度
酒井 鎮美石井 義郎
著者情報
ジャーナル フリー

1959 年 62 巻 3 号 p. 413-417

詳細
抄録

エチレンオキシド付加重合速度に対する極性置換基の影響を検討するために,カセイカリを触媒として種々の置換基を持つフェノールにエチレンオキシドを吹き込んで付加させ,第1報の方法にしたがって各段階の付加重合速度定数を求めた。すなわち,フェノール類に第一のエチレンオキシド分子が付加してβ-フェノキシエタノールを生成する反応は選択的に進行し,その速度定数kiはp-置換基については,メトキシ>メチル>(H)>ブロム>ニトロの順となり,I効果の序列と一致する。他方ο-置換基については, (H) > メチル> メトキシ> ブロム> ニトロ> 2 , 4 , 6 - トリブニムとなり,オルト効果が作用していると考えられる。更に,エチレンオキシド多付加生成物の生成速度定数kpは置換基の位置に関係なく, メトキシ> メチル> (H)> ブロム> ニトロの順となる。これらの結果を説明するため, 触媒として加えたカセイカリより生成するカリウム置換フェノキシドと,残存するフェノールとよりなる中間的錯化合物を経てエチレンオキシドの付加反応が進行すると考える新しい反応機構を提出し考察した。
なお,カセイソーダならびに硫酸アニリンを触媒とする置換アニリンとエチレンオキシドとの反応についても二,三の検討を行った。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top