工業化学雑誌
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テトロン繊維の染料溶液におけるζポテンシァル
須沢 利郎
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1960 年 63 巻 6 号 p. 1069-1072

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抄録

テトロン繊維の水溶液-主として染料溶液-中におけるζポテンシァルを測定し,染色条件との関連性を検討した。
繊維-水系のζポテンシァルはpHのいかんにかかわらず負の値を示し,酸姓より中性に至るにしたがってその値を増し,アルカリ性では一定値に収れんした。この値より求められた繊維表面の単位面積あたりのCOO-の数は約1012個程度であった。
またpHによる繊維-染料系のζポテンシァルは酸性よりアルカリ性に移るにしたがって漸次増加した。
染料濃度の増加によって-ζはほとんど変化せず,温度の上昇によって-ζは漸次減少することが認められた。
塩類濃度の増加によって-ζの極大が生ずることは染料のある場合もない場合も同様であり,塩類陽イオンの方が塩類陰イオンよりζポテンシァルを下げる効果は大であった。
さらにテトロンのキァリアー染色に用いられるフェノール類のζポテンシァルおよび膨潤度におよぼす影響を調べ,若干の知見を得た。

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