工業化学雑誌
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ブルサイト含有蛇紋岩に石灰質を配合した焼成物の研究
坂本 千秋
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1960 年 63 巻 7 号 p. 1178-1182

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抄録

最初ブルサイト含有蛇紋岩を試料とし,これに石灰分を加えて得られた1000~1400℃焼成物中のCaO,MgO,SiO2成分の反応進行状態と肥効性を検討した。すなわち試料炭酸カルシウム中のCaOと,蛇紋岩中に含有する全SiO2とのモル比がそれぞれ1,2,3となるように配合比に合理性を持たした上で,焼成物中の遊離CaO,MgOを定量することによりX線分析結果とあいまって,次の点を解明した。1300~1400℃,2時間焼成では大略
1.CaO/SiO2(モル比)=1の配合で一部MgOが遊離して,CaO-MgO-SiO2系化合物どなる。
2.CaO/SiO2(モル比)=2ではほとんどのMgOを遊離して,2CaO・SiO2となる。
3.CaO/SiO2(モル比)=3の場合は,CaO/SiO2(モル比)=2配合における生成物に遊離CaOが加わる。
またこれら得られた焼成物は,遊離ブルサイトを含まない通常の蛇紋岩を試料とした場合と比較して,溶出MgO量で2~3倍高い結果を得た。
次に焼成の条件はCaO/SiO3(モル比)=2で配合し,1時間焼成が適当であると認めたので,これを適用した結果,蛇紋岩に含有している遊離ブルサイト分の炭酸水による溶出後の残留物は1200~1300℃焼成によって利用化されることを知った。
更に配合用CaO源としてドロマイトを使用することにより,溶出MgO量の極めて高い焼成物が得られた。

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