工業化学雑誌
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ジメチロール尿素ジメチルエーテルの常温酸性水溶液における縮合反応
浜田 英郎
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1961 年 64 巻 11 号 p. 2062-2066

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抄録
常温酸性の水溶液において,ジメチロール尿素ジメチルエーテルは主として不溶性の粉末状縮合重合物を生ずる。この反応の状態はいままでまだ明らかにされていない。これを知ることが本報の目的である。この反応に関しては,ジメチロール尿素の場合のような速度論的取扱いが困難である。そこでまず尿素との反応における生成物を確認して後者の場合と比較し,またメチレン結合の生成率と反応時間との関係をくらべて,CH2OCH3基の反応性を吟味した。次に粉末状重合物の生成反応において,反応物の初濃度をいろいろ変えて反応させ,混濁をはじめる直前に(混濁後粉末状重合物を生成)メチレン結合と遊離ホルムアルデヒドの生成量を測定し,さらに両者の比を求めた。これらの値と反応物の初濃度との関係を同じくジメチロール尿素の場合と比較して,その反応を検討し,得られた結果を総合して次のことを知った。
(1)CH2OCH3基は第1の反応段階(i)で脱メタノールによりカルボニウム陽イオンを生じ,続いてメチロール化反応あるいはアミノ基, イミノ基との間に各種のメチレン化反応を行なう。
(2)素反応(i)の速度定数は,CH2OH基が脱水して同じ陽イオンを生ずるときの値より小さい。
(3)上述の重合物を生ずる反応は,速度は比較して小さいが,ジメチロール尿素と大体同様に説明される。なお,CH2OCH3基がメチロール化されるため,CH2OH基が関与する反応も併発し全反応は複雑になると考えられる。
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