工業化学雑誌
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N-シクロヘキシル-n-アルキルアミンによる硫酸溶液からのトリウムの抽出
八木 一郎
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1962 年 65 巻 1 号 p. 27-29

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抄録

N-シクロヘキシル-n-アルキルアミン-ベンゼン溶液による硫酸溶液からのトリウムの抽出について,アルキル基の影響を検討した。アミンはN-シクロヘキシル基を有するn-オクチル(C8),n-デシル(C10),n-ドデシル(C12),n-トリデシル(C13),n-テトラデシル(C14),n-ヘキサデシル(C16),n-オクタデシルアミン(C18)の7種である。水相と接触することにより,C8は第3相をつくる傾向があり,またC16,C18はつよい乳化状態を示し,いずれも抽出剤として望ましくない。
C10,C12,C13,C14については次のことがいえる。
(1)水相の硫酸濃度が0.1~1.0Nの間では
logKd(Th)=const.-2logC(水相硫酸濃度)
(2)水相のトリウム濃度が0.0003~0.03mol/lの間では
logKd(Th)=const.-0.75logC(水相トリウム濃度)
(3)有機相のアミン濃度が0.1~0.6mol/lの間では
logKd(Th)=const.+2logC(有機相アミン濃度)
(4)Kd(Th)は次の順序で増大する。
C10,C12≦C14<C13(5)硫酸の抽出量は,水相の酸濃度が高くなるに従って増加する。抽出量はほぼ次の順序となり比較的C13が大である。
C10,C12≦C14<C13
(6)トリウムはアミンに[R・R'NH・H]2・[Th(SO4)3]の形で抽出されるものと思われる。

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