1962 年 65 巻 8 号 p. 1286-1290
9-(または1-)ビニルアントラセンを合成し,ラジカル重合,Ziegler触媒による重合を試みた。ラジカル重含では1-ビニル体の方が9-ビニル体に比較して重合し易く,1-ビニル体は重合温度76℃で重合したが9-ビニル体はほとんど重合しなかった。しかし,いずれの場合にも高分子量のものは得られなかった。Ziegler触媒による重合の場合はカチオン重合が起り易く,非結晶性の高融点物質が得られた。その収率はAl(C2H5)3/TiCl4の比が減少するほど増加した。つぎに,得られた重合生成物について,ヨウ素,トリニトロベンゼン,臭素との分子間化合物の合成を試みた。生成物の導電性はヨウ素分子間化合物でp20=106~109Ω・cm,Δε=1.0~1.4eV,トリニトロベンゼン分子間化合物でp20=1013Ω・cm,Δε=1.03eV,臭素分子間化合物でp20=1012Ω・cm,Δε=1.5eVであった。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。