抄録
固体電解コンデンサーの製造においては,金属表面に形成された陽極酸化皮膜上に硝酸マンガンの熱分解により二酸化マンガン層を形成させたのち,コンデンサーの電気的諸特性の改善を目的として,ふたたび,電解液中で陽極酸化を行ないこれを再化成と呼んでいる。
本研究ではチタン固体電解コンデンサーの再化成作用に関連して,陽極上の酸化皮膜と二酸化マンガン層とを単独に取扱うことによって再化成条件の解明を試みた。その結果,酸化皮膜の電気絶縁性は加熱により劣化すること,再化成によりその改善はなされないこと,再化成により二酸化マンガン層の電気抵抗値が増大すること等を知った。また,X線回折,赤外吸収による測定結果から二酸化マンガン層はγ-MnO2であり,再化成による二酸化マンガン結晶形の変化はほとんどないことも判明した。これらの事実をもとにして,再化成の効果につきある程度の検討を加えた。