工業化学雑誌
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メタノールシリカゾルの加圧高温処理によるシリカ粒子の表面変化と示差熱分析
赤林 宏吉田 明利大坪 義雄
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1967 年 70 巻 2 号 p. 156-158

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抄録

メタノールシリカゾル(MSS)を,高温加圧処理した場合のシリカ粒子の表面状態と示差熱分析(DTA)の関係を調べるため,MSSの処理条件を120~280℃,5~100kg/cm2,1~8時間に変え,乾燥して得られたゲル(I),MSS中の水分を0.11~10.0%に変化させ,310℃,80kg/cm2で1時間処理し乾燥して得られたゲル(II),四塩化ケイ素とメタノールより種々の割合のメトキシ基を有するゲル(III),三種類をつくり,元素分析,BET法,メチルレッド吸着法,DTAにより表面状態を推定した。メトキシ基は処理温度が高い場合とMSS中の水分が少ない場合に増加した。DTAの結果200℃付近の吸熱ピークは一部のシラノール基に起因し,300~400℃にある発熱ピークはシラノール基とメトキシ基に起因し,500℃以上にある発熱ピークは主としてメトキシ基に起因するが,シラノール基の量によりピークの移動がみられた。これらのことは(III)のDTA,元素分析からも確認され,メトキシ基の分解温度はシラノール基によって変わることが明らかとなった。

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