抄録
ゼノタイムから得た希土混合酸化物(Y2O3の純度として63.8%)中のイットリウムのイオン交換分離をクエン酸およびHEDTAを用いて行なった。クエン酸とHEDTAを連続して通液して行なった溶離では,99%以上の純度をもつ酸化イットリウムの収率は59%で,HEDTAのみで溶離した場合の27%にくらべ,いちじるしく向上した。また,あらかじめクエン酸による溶離で軽希土および重希土の一部を分離除去した試料をHEDTAで溶離した場合,高純度酸化イットリウムの収率は73%であった。除去した部分にふくまれるイットリウムを損失と考え,これを原試料の希土混合酸化物に対して換算すると,その収率は60%であった。また,HEDTA溶液で溶離するさい,HEDTAのカチオン形のものが吸着され,希土バンドに先行するいわゆる前駆帯が形成されるが,これについても検討した。