工業化学雑誌
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砕木パルプの酸化・還元漂白
鈴木 金道畠山 兵衛飯塚 堯介中野 準三右田 伸彦
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1968 年 71 巻 4 号 p. 535-540

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抄録

エゾマツ砕木パルプ(GP) について過酢酸, 過酸化水素, 亜二チオン酸亜鉛および水素化ホウ素ナトリウムによる一段漂白と,過酢酸または過酸化水素を用いる酸化漂白に対して, 亜二チオン酸亜鉛または水素化ホウ素ナトリウムの還元漂自を組合わせた二段漂白を行なった。得られた漂白パルプの白色度および色相(CIEのXYZ系による表示法) について検討した。
I 漂白剤の分解: 60℃ の水溶液において, 過酢酸はpH 3.3 で, 過酸化水素はpH 10.5 で比較的安定である( 3時間後の分解率: 約5% ) 。亜二チオン酸亜鉛はpH 3.5 の場合よりpH 5.8 の場合の方が安定である( 3時間後の分解率: 約15% ) 。水素化ホウ素ナトリウムではpH 10.5 の場合よりpH 12.0の方が安定である( 1時間後の分解率: 約40% ) 。
II漂白剤の消費量と白色度:漂白剤の種類によって分解率が異なるため,消費量と白色度との間には相関関係がない。水素化ホウ素ナトリウムでは室温で長時間処理した方が有効である。
III白色度および色もどり:一段漂白では亜二チオン酸亜鉛>過酸化水素>過酢酸(pH8.0) >過酢酸(pH3.3) >水素化ホウ素ナトリウムの順で, 白色度の増加に効果がある。二段漂白では過酸化水素- 亜二チオン酸亜鉛の組合せが良好な結果を与えた。黄色化は老化処理前の白色度を考慮に入れると, 過酸化水素が最も小さく, 色もどりが少ない。一般には酸化剤の方が色もどりが少ない。
IV白色度および色相:ハンタ-反射率計を用いて測定した白色度と明度との間には,直線関係が存在する。またハンタ-反射率計で測定した明度とベックマンDU型分光光度計により測定した明度との間にも直線関係が存在する。

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