工業化学雑誌
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沈降速度法による高分子物質の分子量分布測定:θ 溶媒系における一濃度法による分子量分布測定および他の方法との比較
呑海 信雄小高 忠男
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1968 年 71 巻 6 号 p. 879-886

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抄録

分布の異なる数種のポリスチレン試料を用いて,θ溶媒系(シクロヘキサン,35℃)における沈降速度実験から,分子量分布を評価する方法を議論する。特に圧力効果に対する補正の原理と方法を詳しく述べ,補正を行なわない場合との比較についても言及した。沈降係数の濃度依存性はθ状態でも常に存在し,従って濃度補正も必要である。なお,濃度依存性係数ksは圧力補正を行なった後にも回転数依存性を示したが,無限希釈に外挿した極限沈降係数S00は回転数に実験誤差内で依存しない。各回転数での。各回転数でのksはPyun-FiksはPyun-Fixmanの理論が示すようにS00に比例し,回転数59780,42040,29500rpmに対して,それぞれks=3.7×1011S00,ks=3.2×1011S00,ks=3.0×1011S00なる関係を得た。いわゆる一濃度法で分布を求める際には,この実験式をksの濃度依存性式Sc0=S00(1-ksC0)と組合せてSc0をS00に換算した。さらにこの方法の適用性について検討した。
得られた沈降解析データを,カラム分別・GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法の結果と比較した。沈降解析からの分布曲線はカラム分別結果と良く一致しているが,高分子量の試料ではGPCの結果とあまり良い一致が見られなかった。しかし,低分子量の多分散試料については,GPCの測定結果は良い一致を示した。

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