工業化学雑誌
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酸化亜鉛粉末層の光起電力
近藤 厚実高橋 恭介村川 修司
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1969 年 72 巻 1 号 p. 140-145

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抄録

酸化亜鉛粉末層の光起電力をKelvin法により測定し,その構成要因について検討した。酸化亜鉛に対してオーミック接触をするAlと非オーミック接触をするAgとを台金属として使用し,光照射を試料の上側または下側から加え,これらの各場合における光起電力の照度依存性を比較することにより,光起電力には粉末層の表面電位障壁の変化に基因する成分ΔVsとフェルミ準位の変化に基因するΔEFおよびDember起電力VDによる成分の三者が含まれていることを見い出した。Al台金属はΔVsとVDとの両成分が,またAg台金属の場合にはΔVs,VDおよびΔEFの各成分が光起電力の構成要因となっていることがわかった。ΔEF成分が関与すると光起電力の大きさおよび光遮断後の減衰の時定数がいずれも大となる。Al台金属の場合,減圧と共にVD成分が減少していくが,これらの現象は有効ドナー濃度の増減を考えると合理的に説明されることが判明した。さらに上述の各場合の光起電力の波形,振幅,立ち上りおよび減衰の時定数,試料雰囲気を減圧した時の光起電力の変化などの測定結果を分析し,それぞれの現象に対する合理的な解明を与えてある。

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