工業化学雑誌
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トリフェニルホスフィンイリドのシクロヘキセン中での光分解
長尾 義弘志摩 健介桜井 洸
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1969 年 72 巻 1 号 p. 236-238

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抄録

2 種のイリド, すなわちトリフェニルホスフィンカルブエトキシメチレン(I) , トリフェニルホスフィンアセチルメチレン(II)のシクロヘキセン中での光分解反応が研究された。イリド(I)の場合は,ベンゼン,エチルシクロヘキサンアセテート(III),エチル-2-シクロヘキセンアセテート(IV),フェニルシクロヘキサン,ビシクロヘキセニルが得られ,イリド(II)の場合も類似の化合物が得られた。同様の条件下でトリフェニルホスフィンの光分解反応が研究され, イリドの場合と比較検討された。また光分解生成物の量子収率はベンゼンが2×10-2,(III)が1×10-3,(IV)が7×10-4等であった。トリフェニルホスフィンが分解生成物中に検出されなかったこと,ベンゼンの生成量がきわめて多く,それが照射時間と共に直線的に増加すること,その他の結果に基づいて,イリド(I),(II)はリン-フェニル結合が最初に開裂するのであろうと推定された。

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