工業化学雑誌
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変質ピッチを原料とする易黒鉛化性高硬度炭素材
大谷 杉郎大谷 朝男深堀 孝夫
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1969 年 72 巻 1 号 p. 317-322

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抄録

この報告は変質ピッチを原料とする炭素材(ピッチカーボンと呼ぶ)に関する研究の一環である。
変質ピッチをつくるために,コールタールピッチを窒素ガスを吹き込みながら460℃で乾留し,ついでその残留物をオゾンを用いて室温で2:5時間から20時間までの範囲の種々の時間酸化した。得られた変質ピッチを用いて直径20mm,厚さ4mmの平板を加圧成形でつくり,2800℃以下の種々の温度で焼成した。
得られた炭素試料の二,三の性質,すなわち有孔率,比重およびショアー硬度を測定し,またこれらの試料のX線解析を行なった。
得られた炭素および黒鉛試料は高硬度および低有孔率であることが特徴である。例えば,10時間オゾン化した変質ピッチを用いて,1200℃でつくった試料は有孔率11%,ショアー硬度116を示した。試料の特性はオゾン処理の時間と熱処理温度とに密接な関係があるが,すべての試料はオゾン処理条件のいかんにかかわらず,すべて易黒鉛化性であった。これらの結果にもとづいて,ピッチカーボンの炭化および黒鉛化の機構を検討した。

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