工業化学雑誌
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ポリビニルアルコール-ドデシル硫酸ナトリウム複合物水溶液の粘度におよぼす尿素の効果
須沢 利郎島田 俊郎
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1969 年 72 巻 4 号 p. 903-905

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抄録
主として低PVA濃度におけるPVA-SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)水溶液の粘度におよぼす尿素の効果を調べた。
PVA-SDS水溶液のみの場合,SDSの第1のCMCすなわち約8×10-3mol/lの濃度よりηsp/cp~cs(SDS濃度)曲線が増加し,PVA構成基本分子1個あたり,SDS約1~2分子となるSDS濃度-約2×10-2mol/lすなわち第2のCMCと称せられる濃度-付近において,ηsp/cp~cs曲線に極大を生じ,溶液中に残存するSDSのために,PVA-SDS複合物分子が棒状分子より糸まり状に変化することが示唆された。
尿素存在下では,まづSDSの第1のCMC以下の濃度では,尿素濃度の増加とともにηsp/cp~cs曲線は上昇し,PVA分子鎖に沿つてかなり離れた距離にあるOH基間の分子内水素結合が尿素によって切断されることが示唆されたが,SDSの第1のCMC以上の濃度では,尿素濃度の増加とともにηsp/cp~cs曲線は低下し,PVA-SDS複合物分子が尿素によって収縮することが示唆された。
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