工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
工業用水中のフミン酸の凝集に対する金属イオン凝集剤の効果
後藤 克己四ツ柳 隆夫永山 政一
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 72 巻 8 号 p. 1871-1875

詳細
抄録

金属イオン凝集剤(主としてFeCl3)によるフミン酸の凝集挙動をジャーテスト法によって調べ,凝集領域を,凝集剤添加量,凝集pHおよびフミン酸添加量の関数として示すダイヤグラムを得た。この種のダイヤグラムにより,最適凝集条件および凝集剤の限界凝集濃度とpHとの関係を直ちに知ることができる。また,この関係は各種凝集剤の効力を比較するための一つの有効な基準になることがわかった。たとえぱ,pH7の条件では,各凝集剤の相対的な最少所要量は,金属イオンの重量比で,FeCl3:AlCl3:Al2(SO4)3:Al(OH)1.5Cl1.5=5:2:2:1であることがわかった。
上述のダイヤグラムに基づいて,金属イオンによるフミン酸の凝集機構を論じた。とくに,金属イオンが加水分解重合反応によって多核錯体を形成する条件では,その凝集挙動を,H2O,OH-およびフミン酸イオンを配位子とする多核混合錯体の生成によって説明できることを明らかにした。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top