抄録
Ni系3成分触媒(前報)によるブタジエン(BD)のシス重合後,高温でビニルモノマーはほぼQ値の大きさの順位で重合するがメタクリル酸メチル(MMA),アクリロニトリル(AN)等は重合しにくく,活性点にモノマー選択性を認めたが,スチレン(ST)の存在下ではMMAまたはANの共重合が起こり,各3元共重合体が得られた。BD重合後の高温第2段ST~AN共重合において,共重合曲線,相対反応性比γ1(AN)=0.01±0.06,γ2(ST)=0.63±0.12はラジカル共重合のそれに一致し,全活性化エネルギーは10~11Kcal/molであり,広い高温領域でSTの重合速度はANのそれより大きいがCo系3成分触媒を用いるとANの重合速度の方が大きいことを認めた。またNiまたはCo系触媒によるBD重合後アクリル酸(AA)2元共重合,イソプレン(IP)重合後ST,AAまたはメタクリル酸(MAA)2元共重合,BD~IP共重合後ST,AAまたはMAA3元共重合,BD重合後ST~AAまたはMAA3元共重合,IP重合後ST~AN,~AAまたはMMA3元共重合において第2段重合を高温で行なうと,ほぼQ値の大きさに従う順位で重合が起こり,大部分の重合においてホモポリマーの生成を伴うことなく共重合し,種々の2元または3元2段共重合体が得られた。