工業化学雑誌
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ポリスチレンスルホン酸ナトリウムおよび硫酸セルロースナトリウムの水溶液粘度におよぼす尿素の効果
須沢 利郎塩田 宏治
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1970 年 73 巻 11 号 p. 2447-2450

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抄録

高分子電解質に対する尿素の作用機構を研究するため,高分子電解質としてポリスチレンスルホン酸ナトリウムおよび硫酸セルロースナトリウム塩を用い,30℃においてその水溶液粘度に及ぼす尿素の効果を調べた。
水溶液中で尿素の分解がかなり進行し,分解イオン濃度が大きいと考えられる場合には,尿素濃度の増加とともにηsp/cp~cp曲線(cp:高分子電解質濃度)は,分解イオンによる電荷遮へい効果によって低下し, 高分子電解質分子の収縮が示唆された。しかし分解がほとんど進行せず,水溶液中における分解イオン濃度が非常に小さいと考えられる場合には,尿素濃度の増加とともに,ηsp/cp~cp曲線は上昇し,尿素水溶液は高分子電解質に対して良溶媒として作用することが示唆された。また尿素濃度の増加とともにηsp/cp~cp
曲線が上昇する程度は,硫酸セルロースナトリウム塩の方がポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩の場合よりも大きいが,これは前者の分子内水素結合が尿素によって切断されることが原因であろうと考えられた。

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