1970 年 73 巻 3 号 p. 502-505
ボイラー用水中の銅イオンの挙動を究明するためには ppb 程度のきわめて微量の銅イオンを精度よく測定することが必要である。著者らは細かいキレート型イオン交換樹脂を用いてこのような ppb 程度の銅イオンを ppm の濃度まで濃縮した後, 塩化カリウムを含む硝酸を支持電解質として, ポーラログラフで分析することにより, ppb 程度の銅イオンを精度よく定量できることを見い出した。まず Dowex A-1 (H型, 100~325 メッシュ) 約1ml をつめたカラムにポンプを用いて試料水 1l を 30~40 分で通し, 試料水中の銅イオンを吸着させる。その後0.04N 塩化カリウムを含む 3N 硝酸と精製水を用い約20分で溶離, 洗浄を行ない, 銅イオンを流出させた。流出液について高周波ポーラログラフにより頂点電位 -0.15V における波高を求め, 銅イオンを定量した。標準試料水を本法で分析すると 1~20pp bの場合の標準偏差は0.04~1.3ppbであった。妨害イオンについても問題ないことを確かめ, 実際に約 1ppb のボイラー用水に適用した。その結果標準偏差 0.06ppb で定量できた。
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