抄録
60Co からのγ線により, クロルジフルオルメタン中の低温放射線溶液重合において得られたポリテトラフルオルエチレンの分子量を標準比重法により求め, 重合条件, および重合機構との関連について動力学的に考察し, さらに焼成サンプルの変形, およびクラックとの関係についても論じた。放射線重合物の分子量は高々 120 万であるのに対し, 市販触媒重合物は 170~2150 万と,かなりの差が見られた。分子量は照射重合時間とともに直線的に増大し, また後重合においても著しく増大する。さらに, 後重合収率の増大とともに加速度的に分子量が増大する現象が見られた。これらの事実について動力学的に考察し, 重合度 (P) と照射重合時間 (t), 成長速度定数 (kp), モノマー濃度 ([M]) との間には P=kp[M]t の関係が成立することを認めた。