1970 年 73 巻 7 号 p. 1467-1471
高分子固体中への気体の溶解に関する知見を得るために平衡時の溶解度係数のみでなく, 溶解過程も同時に測定することができる実験装置を試作した。高圧法, 低圧法ポリエチレンフィルムについて実験を行なった結果, その溶解速度曲線において気体の溶解過程の現われ方が異なり, 表面状態および非結晶部分の状態に違いがあることが推定された。特に低圧法ポリエチレンフィルムの場合, 拡散律速の溶解過程に先行して吸着過程が観測され, Vieth らが平衡吸収量のみから結論を下した二元吸収機構 (dual sorptionmechanism) を吸着と溶解の二つの過程として動的にとらえることができた。また, それらの定量的取扱いを可能にし, 全吸収量から吸着量を差引いた量を用いて溶解度係数, 拡散係数を求め溶解について考察を行なった。
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