日本化學會誌
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乳汁に關する研究(第一報)
牛乳の無機成分に就て
近藤 金助森 茂樹
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1929 年 50 巻 12 号 p. 764-772

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抄録

1. Holstein乳牛2頭について約300日間に亘つて4週間毎に採乳してその無機成分量を定量した。
2. 其の結果乳量、脂肪量、全無機成分量等は相互間に相連關して搾乳期の進行と共に規則正しく變移することを認めた。
3. 個々の無機成分も亦搾乳期に應じて規則的にその量を變動する。そのうち變動量に於て最も甚だしいのは加里と燐酸である。而して此の兩者は量に於て互に逆關係をなして變動する。
4. 又個々の無機成分のうち酸性基と鹽酸性基とは互讓的に増減して牛乳の化學平衡を保たしめて居る。
5. 牛乳中のP/Caを算出して牛乳がRicket-producing dietになり易きことを指摘した。
6. 乳乳中の鐵含量に就て從來報告せられたるものを列擧して眞の含量を考察推定した。
私等は文部省自然科學研究奨勵費の補助によつて本研究を行つた。茲に同省に對して厚く謝意を表し度い。又本研究に使用せし材料は大阪府豊中町志方農藝科學研究所から得た。茲に所長志方貞三氏及び乳牛の飼養管理の勞をとられた井街農學士に對して深謝する。

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