日本化學會誌
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活性炭素の接觸作用(第一報)
メントン及びピペリトン對する活性炭素の接觸作用就て
木村 清三
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1930 年 51 巻 12 号 p. 790-798

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抄録

(1)液相に於けるメントン及びピペリトン活性炭素を作用せしめメタ・クレゾールと少量のチモールを得たり。
(2)メントンよりもピペリトンに作用せしむる方多量のフェノール分を生成したり。
(3)メントンを活性炭素と乾溜する時はメタ・クレゾールを得るチモールの痕跡をも認めず。
(4)活性炭素と加熱する事に依り左旋メントンは右旋メントンに變ずるを認めり。ピペリトンは常壓加熱に依り不旋光性となるを以て此の變化を確むるを得ず。
(5)チモールに活性炭素を作用せしめメタ・クレゾールを得たり。又同時に2, 5-ヂメチル・クマロンの生成するを認めたり。
(6)之等の事實よりメントン及びピペリトンのエノール型存在を立證し活性炭素が液相に於て脱水素作用あるを指摘し更に活性炭素がイソプロピル基を分裂せしめ又クマロン系化合物を生成せしむる能力あるを確めその反應機構を説明せせり。
本研究は當社専務取締役理學博士小野嘉七氏の御懇篤なる御指導の下に施行せるものにして茲に同氏に深く謝意を表す。尚實驗に熱心助力せられたる奥田武雄氏に感謝す。

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