日本化學會誌
Online ISSN : 2185-0909
Print ISSN : 0369-4208
アルミニウム重量分析(第五報) メチールアミン及び其炭酸鹽に依るアルミニウムの定量法
高津 壽雄
著者情報
ジャーナル フリー

1934 年 55 巻 5 号 p. 447-457

詳細
抄録

(1) 種種の鹽基を使用しアルミニウムの電氣滴定を行ひ,其滴定曲線を比較するにpH値6.00附近にて沈澱完結點を有する場合は生成沈澱は鹽基の過剰に溶解せざるも完結點7.00附近にある場合は溶解す.
(2) 水酸化アルミニウムの最も安定なるはpH値6.00乃至8.00の間なるも6.50乃至7.00の間を最適とす.
(3) 鹽基の炭酸鹽を使用するときは鹽基性炭酸アルミニウムを定量的に沈澱し分析操作に便なる沈澱を生ず.
(4) 鹽基性炭酸アルミニウムの理想的(定量の場合)沈澱を得るには次の諸條件を必要とす(a)溶液濃厚にして容積大ならざること.(b)沈澱劑の鹽基度小なること.(c)沈澱劑の相當濃厚なること(約2モル溶液).(d)沈澱生成は常温にて攪拌しつつ行ふこと.(e)沈澱生成後輕く振盪しつつ重盪煎上にて10分間内外加熱すること.
(5) 鹽基性炭酸アルミニウムは母液と加熱するも15分以下なれば完全に加水分解を受けず.又加水分解を受くるも純水酸化アルミニウムの沈澱の如く膠状ならず,從つて濾過洗滌に便なり.
終りに臨み本研究を行ふにあたり常に御懇篤なる御指導を賜はりし恩師松井元興先生に謹謝す.

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top