日本化學會誌
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鯛に關する榮養化學的研究(第四報)
鯛肉蛋白の分別
波多腰 ヤス
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1935 年 56 巻 2 号 p. 221-229

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抄録

(1) 鯛肉蛋白を分別するために用ふる溶媒について實驗を行ひ次の結果を得た.
(a) 水溶性蛋白を分別するには鯛の擂磨肉10gに對し水50ccが適量であること.
(b) NaCl液可溶性蛋白を分別するには擂磨肉10gに對し0.2NNaCl液50ccが適當であること.
(c) NaOH液可溶性蛋白を分別するには擂磨肉10g對し0.03NNaOH液100ccが適當であること.
(2) 上記の實驗結果によつて鯛肉から水溶性蛋白NaCl液可溶性蛋白及びNaOH液可溶性蛋白並に不溶性蛋白を分別し更に前者を3種に分別した.
(3) 鯛肉蛋白から分別した6種の蛋白のうち3種につき各種形態の窒素量及び灰分,鐵,銅並に燐の定量をなし其の結果について鐵,銅,燐等の意義を明らかにして併せて鯛肉蛋白も種々の條件に應じて彷徨變異をなすことを明らかにした.
(4) 鯛肉を調理の時の程度に焙焼すれば水分を失つて約2割の重量を減じ又特に其の際肉蛋白は凝固して普通の溶煤には溶解し難くなることを實證した.

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