日本化學會誌
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るび-蝋蟲の蝋分研究(第一報)
小山 亮清
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1935 年 56 巻 4 号 p. 365-372

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抄録

るび-蝋蟲(Ceroplastes rubens, Maskell)の蝋分中脂肪屬の酸及アルコールにつきて實驗せる結果は次の如し.
1. 高級脂肪酸としてMelissic acid (C31)及新酸としてCeromelissic (C33) Ceroplastic (C35)の酸の存在を確め各Methyl及Ethyl esterを求めたり. Ceromelissic acidはPsyllostearylic acidと一致する様思はるるも此れに相當するアルコールより該酸と斷定し難き故區別せり.
2. 樹脂酸と見做さるるC22H34O2なる酸を分離せり.
3. 不鹸化物中のアルコールとしてはMelissyl(C31)及び新しきアルコールとしてCeromelissyl(C33) Ceroplasyl(C35)なるアルコールを得acetyl誘導體を得たり.
4. 是等のalcoholを酸化して得たる酸が同數の炭素數を有する酸なる點より此等の飽和アルコールは何れもPrimary alcoholなり.殊にCeromelissyl alcoholを酸化して得たる酸とCeromelissic acidとが一致する故にPsyllostearyl alcoholとは性質に於て差異を有するCeromelissyl alcoholを區別し從つてCeromelissic acidをPsyllostearylic acidと區別せり.
5. アルコールの酸化に際しては何れも酸化の中途に於て夫々の酸化によりて得たる酸と原アルコールとの間にエステルを生じ其の融點は原アルコール及酸の何れよりも高し.
6. Ceryl及びIbotaceryl alcohol, Cerotic及びIbotacerotic acidは得られざりき.
終りに臨み懇切なる御指示を賜はりし恩師東北帝大野村教授に謹みて謝意を表し,分析に際し助力を寄せられし野崎文雄,西城崇士の兩君に感謝す.

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