日本化學會誌
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Ascorbin酸オキシダーゼの化學的性質(第十報)
田所 哲太郎高杉 直幹
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1939 年 60 巻 12 号 p. 1255-1257

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抄録

著者等は各種植物體のAscorbin酸オキシダーゼ作用を有する蛋白質は共通的に燐酸に富み且つGlucosaminsを含有しNucleotid型構造を有する如く考察せらるる點よりNucleotidに該酵素力の存在すべきことを推定して之を證明し,然もMononucleotidにありては等電點にありて酵素力最少に達するが故に解離恒數と密接の關係を有すべく特に燐酸基と酵素力との間に次の如き重要なる關係を有することを證明せり.
1. MononucleotidのGuanyl酸及びAdenyl酸の燐酸基と結合すべきBrucin鹽を生成するときAscorbin酸オキシダーゼ作用を全く消失す.
2. Guanyl酸を加壓加熱により燐酸基を脱離せしめGuanosinを生成するときも亦同様にAscorbin酸オキシダーゼ作用を全く失ふに至る.
3. Pyridin-nucleotidを確認せんが爲め前報に述べたる窒素及び燐酸含量の理論値との一致の事實に加ふるにAdeninを加水分解物に檢出せり.
4. Pyridin-nucleotidの加水分解を進行せしむるとき遂次溶液中に燐酸を遊離せしめ同時にAscorbin酸オキシダーゼの作用を減退することを認む.
5. Nucleotid中にて解離恒數の極近似値を有するThymus-nuclein酸とGuanyl酸とのAscorbin酸オキシダーゼ作用は兩者の同一濃度液にありて約一致する事を認む.

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