日本化學會誌
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分析化學に於ける基礎反應の研究(第五報)
金屬根とヴァナヂウム酸ソーダの反應
岡 好良
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1939 年 60 巻 12 号 p. 1279-1286

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抄録

1) 諸種の金屬鹽溶液に正ヴァナヂウム酸ソーダを加へるときに行はれる反應並びに此の際生ずる沈澱の組成を知る目的を持つて硝子電極を使用して滴定を行つた.
2) 硝酸銀,硝酸ランタン,硝酸第一セリウム,硝酸鉛,硝酸トリウム,硝酸クロムを滴定した場合には數%の誤差以内に於いて正鹽を生した.
3) 硝酸銅,硝酸ベリリウム,硝酸亞鉛,硝酸カドミウム,硝酸アルミニウム,硝酸第二鐡,硝酸コバルト,硝酸ニツケルを滴定した場合には水酸化物とヴァナヂウム酸鹽の混合物を生ずる.
4) 硝酸ウラニルに於いてはNaUO2VO4を生ずる.
5)カルシウム,ストロンチウム鹽に於ては沈澱を生じなかった.硝酸バリウムを滴定した場合には沈澱を生じたが,同時に溶液は強アルカリ性となつた.
6) 硝酸鉛,硝酸トリウムに於いては滴定に伴ひpHが次第に下つた.これよりヴァナヂウム酸ソーダはNa3VO4+H2O=Na2HVO4+NaOHと加水分解すると考へたい.又かく考へる時に,硝酸銅,硝酸カドミウムに於いて計算と實験値が一致した.
硝酸ベリリウム,硝酸アルミニウム,硝酸第二鐡の如く,鹽基性弱くよく加水分解する金屬鹽に於いては,一部多ヴァナヂウム酸イオンを生ずる.

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