1939 年 60 巻 12 号 p. 1293-1301
(1) 活性體及び融劑を含まない純粹の硫化亞鉛螢光體の螢光は,活性體として銅を含む硫化亞鉛螢光體の螢光と同様に,廣義の共鳴幅射に基くことを論じた.
(2)-185°Cに於ける純粹の硫化亞鉛螢光體の螢光スペクトルに於て著者の見出した4個の螢光帶は,活性中心を形成せるZn原子の刺戟状態から基準状態への次の様な電子遷移に基くことを示した. 1P10→1S0=4680Å, 3p20→1S0=4840Å, 3P10→1S0=5040Å, 3P00→1S0=5455Å
(3) 斯様な螢光の機構の下に,硫化亞鉛螢光體の光電傅導度の温度に依る變化に對して理論式を與へ,之が従來の實験結果とよく一致することを示した.
(4) 上記の様な共鳴幅射の機構の下には,硫化亞鉛螢光體の螢光スペクトルは分子振動構造を示す筈であるが,初めて箸者は此分子振動構造を測定することに成功し,更に其理論的檢討を行つて,硫化亞鉛螢光體の螢光は廣義の共鳴幅射に基くことを明にした.
この記事は最新の被引用情報を取得できません。