日本化學會誌
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Ascorbin酸オキシダーゼの化學的性質(第五報)
田所 哲太郎高杉 直幹
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1939 年 60 巻 5 号 p. 437-441

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抄録

著者は更に大豆モヤシの中のAscorbin酸オキシダーゼ力を有する蛋白質を分離し其化學的性質を研究して其結果を既報の胡瓜南瓜及び花甘藍より得たるものと比較するに共通的に燐含量に富み炭素含量低きNucleoalbumin若くはMucin類に近似性を有すと結論せる結果Glucosamin含量を測定せり.即ち尿素溶液による分別法を用ゐて2種のフラクシヨンとしAscorbin酸オキシダーゼ力, Glucosamin含量及び燐含量を測定せるに酵素力の強きはGlucosamin及び燐含量の共に低きものあるを認めたり.次にVitellinを用ゐて同様2種フラクシヨンなしGlucosaminと燐含量とを測定するとき前者に乏しきものは後者の含量常に低きが故に恐らく燐はGlucosaminと直接結合し之を介して蛋白質巨大分子と結合するものならんと思考す.更にVitellinの脱燐作用を伴ふHCl及びペプシンによる處理によりAscorbin酸オキシダーゼと同一の作用を有することを發見し,該作用はペプシン,熱HClによる處理にては力弱きも冷HCl液による長時間浸出物より再び沈澱せしめたるものにありて最も強力なること確めたり.然るに脱燐作用を伴はざるH3PO4液浸出物より沈澱せるものは殆ど酵素力を有せざることを確めたり.

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