1941 年 62 巻 4 号 p. 342-348
(1) 遊離酸素含有層の範圍に於て水素イオン濃度は全炭酸と過剩鹽基量との2要因によつて決定されることを確めた.
(2) 酸素缺如層に於ては,水素イオン濃度は單純に全炭酸と過剩鹽基量の2要因だけでは決定されない.その外に二價の鐡の含有當量を考へ,之を以て過剩鹽基量を補正することにより略満足な解釋を與へることが出來る事を示した.
(3) 以上により高須賀沼に見られる如き水素イオン濃度逆轉大成層出現の主要機構を實證的に闡明することを得た.又湖沼水の緩衝機構に於ける炭酸,過剩鹽基及び各態鐡の勤むる役割に關して定量的の知識を獲得したと信ずる.
この記事は最新の被引用情報を取得できません。