1941 年 62 巻 5 号 p. 408-412
葡萄糖及び果糖を中性なる重酸素水と30~100°に0~390分間加熱して,之等の糖類と水との間の酸素原子の交換反應の速度と,其れと能ふる限り同一の條件の下に於ける變旋光の速度とを比較した.其の結果に依れば高温度に於ては此の兩反應は大體同一の速度を以て進行する.然るに室温即ち30°附近に於ては交換反應の速度は頗る小であつて,實驗誤差の範圍内に於て認められざるに反し,變旋光は猶且速かに進行することを知つた.此の結果より見れば少く共室温附近に於て進行する變旋光の機作としては水素原子移行説が最も妥當なるものと考へられる.但し高温度に於ては更に他種の機作例へば水加物の生成に依る立體構造の變化が並發する可能性がある.
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