Ascorbin酸オキシダーゼの化學的性質(第十七報)

抄録

著者はPoly, Di及びMono-nucleotid等はAscorbin酸オキシダーゼ作用を有することを認め,又該作用ある肝臟蛋白質,卵ヴテリン及び豆もやしの蛋白質も亦Nuclotid特有の吸收スペクトルを現す事を證明せり.更に米胚芽Nucleinも亦酵素力あるも胡瓜のもの, Pyridin nucleotidと共にDiphtheria toxinのDehydrogenaseにより作用阻止せらる.又Guanyl酸のAscorbin酸オキシダーゼ作用はpH5.8にあるもpH7.2空氣を斷てる媒間にてDehydrogenase作用に變ることを認め,米胚芽Nucleinにありても亦同一なりと述べたり.本報告には次の結論を追加す.
(1) 胡瓜及び米胚芽のAscorbin酸オキシダーゼ含有蛋白質はマンノウロン酸,焦性葡萄酸及びマンノースに對しDehydrogenase作用を示し兩者は糖分各種に對しフラクトース>ガラクトース>グルコース順に減少せり.
(2) フラクトースDehydrogenaseの作用はGuanyl酸より燐酸を脱離してGuanosinとなれば失はる.
(3) 枸櫞酸,糖類及びアルコールのDehydrogenase作用は米胚芽,豆もやし, Guanyl酸及びPyridinnucleotid等のAscorbin酸オキシダーゼ作用あるものに發見せられ,然も共にMg(OH)₂により促進せらる.該促進作用はマンナン及びアルギン酸に運搬さるゝ時も亦誤めらる.
(4) 枸櫞酸及び糖類のDehydrogenase作用はCa, Cu及びAgイオンの存在により阻止せらるることAscorbin酸オキシダーゼに反せり.
(5) PolynucleotidのDehydrogenase作用はMgにより促進せられMonoとなりて其作用を減退することAscorbin酸オキシダーゼの場合に増大するに相反せり.