Bacterium Cassavanumによる澱粉の化學的變化(第一報)

抄録

Bact. Casavanumは臺北帝大馬場教授の分離せしものにして澱粉をデキストリンに分解する作用ありとせらる.該菌を澱粉を含む人工培養液に接種するに發育に從ひ不溶性雲状のゲルを沈澱せり.そのものは細菌Polysaccharid¹⁾か或はアミノ糖²⁾をも含有するやを疑ひ次の實驗を行へり.其の結果(1) 澱粉液は粘度を低下し次いで沃度反應を失ひ遂に還元力を有するに至る. (2) ゲル状沈澱は9.9%の窒素を含み35%の還元糖を基質とするものよりなり且つ0.62%の燐を含む. (3) 分子中にHewitt法によりグルコサミンの呈色反應を呈するものの存在を認む. (4) 分離せるPolysaccharidはPとNを含みタンニンにより沈澱せらる. (5) 其他右旋性, Glucosamin (+), Phlorglucin反應(+), Ketose反應(一)等の點でBact. Calmett-Guérinのものと類似するを認む.