日本化學會誌
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米胚芽の酵素含有蛋白質に就て(第二報)
田所 哲太郎櫻井 忠次
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1942 年 63 巻 4 号 p. 324-326

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抄録

著者は第一報1)にありて米胚芽中より酵素力ある含燐蛋白質の2種を分離し,そのアスコルビン酸オキシダーゼ作用と枸櫞酸,マンノウロン酸デヒドロゲナーゼ作用を認めたり.本報告には精製し酵母ヌクレイン酸と近似の組成を有するものとなし,兩者併行して酵素作用を檢出し更にモノヌクレオチード相當物質に就きても行ひその間の酵素力を比較せり.
(1) 米胚芽より分離せしものの窒素,燐含量は酵母ヌクレイン酸に近く260mμに吸収スペクトルを有する點共通なり.これ等はモノヌクレオチードと共にアスコルビン酸オキシダーゼ,ペルオキシダーゼ,枸櫞酸デヒドロゲナーゼ作用を有す.
(2) 胚芽のアスコルビン酸オキシダーゼ作用は酵母のものと同様に硫酸銅の存在にて促進せられ且つモノヌクレオチードに相當するものと變化しても亦尚は増進せらるゝこと酵母ヌクレイン酸及びモノヌクレオチードの場合と同一なることを認む.
(3) 胚芽のモノヌクレオチードに相當するものの加水分解により枸櫞酸鹽デヒドロゲナーゼ作用は酵母ヌクレイン酸と同様に減退すること少し.
(4) 胚芽のモノヌクレオチードに相當するものの加水分解によペルオキシダーゼ作用酵母ヌクレイン酸と同様に著しく減退す.
(5) 組成分,吸収スペクトル及び3種の酵素力は分解による變化は全く酵母ヌクイレン酸と一致するが故に米胚芽のものも亦ポリヌクレオチードよりなるものと推定せらる.

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