日本化學會誌
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硫酸第一チタンに依る容量分析法(第六報)
四三酸化鉛の定量
江見 浩一
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1944 年 65 巻 5 号 p. 409-413

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抄録

(1) 硫酸第一チタンを以て四三酸化鉛を定量する方法を案出して其の定量に最適の條件を決定した.
(2) 試料の採取量は0.2gが適量で0.3g以上になると正確な滴定は困難である.
(3) 此の滴定方法に於いての硫酸第一チタン溶液の濃度は1/30N溶液が最適の濃度である.若し1/10N溶液にすると四三酸化鉛の數値は過大となる.
(4) 滴定方法は試料約0.2gに醋酸ソーダ溶液20cc及び酒石酸ソーダ約0.4gを加へ,加温して試料を溶解する.次いで之に炭酸ガスを通じながら1/30N硫酸第一チタン溶液40ccを加へて5分間放置後徐々に1/10N鐵明礬溶液20cc並にチオシアン酸アムモニウム溶液5ccを添加の上1/30N硫酸第一チタン溶液を以て其の赤色が消失する迄滴定して四三酸化鉛の百分率を算出する.
(5) 四三酸化鉛中の微量鐵を定量する方法を實驗して次の如く決定した.
容量150ccの三角フラスコに四三酸化鉛0.2gを秤取し之に60%醋酸ソーダ溶液20cc及び酒石酸ソーダ約0.4gを加へ,加温して完全に溶解し放冷後更に1/30N鐵明礬溶液1ccを加へて試料溶液とした.此の溶液に濃硫酸7cc及びチオシアン酸アムモニウム溶液5ccを添加して後之を1/60N硫酸第一チタン溶液を以て滴定して其の赤色の消失する時を滴定の終點とする.
(6) 鐵の含有量が1.058mg以上の時は理論數と一致した結果が得られるが0.423mg以下になると滴定の終點は頗る不鋭敏で殊に0.211mg以下の鐵の場合は滴定は困難である.

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