日本化學雜誌
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イオン性-非イオン性界面活性剤の混合ミセル
中川 俊夫井上 英男
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1957 年 78 巻 5 号 p. 636-640

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抄録

イオン性界面活性剤が水中でミセルをつくることはよく知られており,非イオン性活性剤もミセルをつくることはほぼ確かめられている。しかるにイオン性と非イオン性の活性剤を混合した水溶液については全然報告がみられない。薯者らはラウリル硫酸ナリウム(以下NaLSと略す)とBrij35(ポリオキシエチレン-ラウリルエーテル)の混合水溶液について,その電気泳動,拡散,粘度等を測定し,水和球形ミセルを仮定して実効半径,実効荷電,ζ ポテンシァル,粒子量,活性剤の会合数およびミセルのみかけの解離度等を算出した。結果を要約すればイオン性と非イオン性の活性剤を混合した水溶液中においては分散度の少ないただ一種類の混合ミセルが存在し,ミセルの電荷,ζ ポテンシァルおよびミセルを構成するイオン性活性剤の会合数は,イオン性の混合比が減少するにつれていちように減少し,実効半径,粒子量およびミセルを構成する非イオン性活性剤の会合数は大体増加の傾向を示している。これはわれわれがイオン性と非イオン性を混合したときに普通考えるモデルにむじゅんしない。

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