日本化學雜誌
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テトラピリジノテトラアザポルフィン*誘導体の研究(第1報)
深田 直実
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1957 年 78 巻 9 号 p. 1348-1351

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抄録

キノリン酸と尿素と金属原料とから,ホウ酸とモリブデン酸アンモニウムとを触媒にしてテトラー2,3一ピリジノポルフィラジンの金属錯化合物を合成した。精製後1800Cで乾燥すると,2価の銅,ニッケル,コバルトおよび鉄の化合物は(C7H3N3)4M(Mは金属)の形,3価の鉄およびクロムの化合物は(C7HgN3)4M・雪0の形である。赤紫,青紫または青の反射色を持つ針状あるいは板状の結晶で,粉末にすれば銅,ニッケルおよびコバルトの錯化合物は青黒色,鉄錯化合物は青緑黒色,クロム錯化合物は緑黒色である。4~6N以上の濃無機酸やトリクロル酢酸に溶けて青色,青緑色または緑色を呈し,酢酸やフェノールにも少し溶けるが,いずれも水で薄めると沈殿する傾向がある。濃硝酸にはフタロシアニン誘導体よりもはるかに耐える。鉄とコバルトとの錯化合物は触媒的に過酸化水素を分解し,ルミノールの化学発光に対する触媒的作用は鉄錯化合物だけがとくに著しいo

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