1960 年 81 巻 12 号 p. 1876-1882
光線によもビタミンAのギトール化について研究した。ビタミンAは遊離型でも,またエステル型でも光2量体であるキトールとなるが,ビタミンAの吸収する波長のうち,300mμより長波長域の光線が有効である。この反応に対し酸化防止剤はなんの効果も示さず,β-カロチンのような色素はある程度の防止能を示すものと考えられた。また300mμより短波長の紫外線はビタミンAを破壊した。レチネンもビタミンAと同様に,2量体となり,アンヒドロビタミンAの場合は2量体を生じたとすれば,12,13-の位置で2量重合を起したものと考えねばならない。β-カロチンは光に対して相当に安定であり,長時間の日光照射によっても重合されにくいものと考えられた。またキトールの生体内での意義,その生成機構についても老察した。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。