1960 年 81 巻 3 号 p. 457-459
重金属共存中のコバルトをヘキサニトロコバルト(III)錯塩として沈殿させるときに, 従来の酢酸のかわりに乳酸を用いることによって, スズ, アンチモン, 鉄, クロム, アルミニウムのような塩基性の弱い重金属が 50mg から 120mg 程度存在しても, 5mg以下のコバルトを簡単に分離することができた。沈殿剤として亜硝酸カリウムの他に亜硝酸ナトリウみを併用した方が結果が良く, また 80℃ で 1 時間温浸することによって, いままで 1 晩かかって熟成させていた沈殿を 1 時間の水冷で完成できて, 遠心沈殿法の利用とともに多数の試料を容易に処理可能となった。チタン, ビスマスおよび銅の共沈はジヒドロキシエチルグリシンで遮蔽され, 100mg 程度のニッケルと鉛は再沈殿で除かれる。沈殿を遠心分離, 洗浄ののち, 塩酸に溶解し, 酢酸アンモニウム, チオシアン酸カリウムおよびアセトンを加えて EDTA で滴定すれば, 他の金属指示薬を用いたときよりも鋭敏に終点が見わけられる。
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