日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
EDTA を用いた重金属の定量(第4報)重金属共存中のコバルトの分離定量法
高本 進
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 81 巻 3 号 p. 457-459

詳細
抄録

重金属共存中のコバルトをヘキサニトロコバルト(III)錯塩として沈殿させるときに, 従来の酢酸のかわりに乳酸を用いることによって, スズ, アンチモン, 鉄, クロム, アルミニウムのような塩基性の弱い重金属が 50mg から 120mg 程度存在しても, 5mg以下のコバルトを簡単に分離することができた。沈殿剤として亜硝酸カリウムの他に亜硝酸ナトリウみを併用した方が結果が良く, また 80℃ で 1 時間温浸することによって, いままで 1 晩かかって熟成させていた沈殿を 1 時間の水冷で完成できて, 遠心沈殿法の利用とともに多数の試料を容易に処理可能となった。チタン, ビスマスおよび銅の共沈はジヒドロキシエチルグリシンで遮蔽され, 100mg 程度のニッケルと鉛は再沈殿で除かれる。沈殿を遠心分離, 洗浄ののち, 塩酸に溶解し, 酢酸アンモニウム, チオシアン酸カリウムおよびアセトンを加えて EDTA で滴定すれば, 他の金属指示薬を用いたときよりも鋭敏に終点が見わけられる。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top