日本化學雜誌
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水溶性重縮合物による懸濁液の凝結
野田 道宏
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1961 年 82 巻 12 号 p. 1611-1615

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抄録

著者は凝結剤としての水溶性重縮合物について研究し,すでに数種について報告したが,それら水溶性重縮合物の特徴,作用を明確にするために,懸濁物の粒度とその凝結性に着目し,ケイソウムにより実験し,低分子の塩化バリウム,アニリン塩酸塩,高分子で重合度の異なる 3 種のポリアクリルアミドと比較し考察した。
粗粒に対して低分子はともに凝結効力が認められないのに高分子のボリアクリルアミドは顕著な効力が認められ,かつその効力は分子量の増大とともに増大し,また水溶性重縮合物はいずれもかなりの効力が認められた。
コロイド性粒度に対して非イオン牲のものは,いずれもほとんど凝結効力を有しないのに,陽イオン性のものはいずれも有効であった。細粒に対してそれらの中間的性状が認められた。以上の結果から,アニリンーホルムアルデヒド重縮合物・ポリヘキサメチレンチオ尿素の凝結作用はその陽イオンとしての作用,および吸着にともなう架橋作用,非イオン牲の尿素-ホルムアルデヒド重縮合物は吸着にともなう架橋作用によるもので,粗粒に対してはとくに架橋が,粒度が微細になり,コロイドになるにしたがって,とくにイオンによる ζ-電位の低下が有効に作用することを推論した。

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