日本化學雜誌
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ポーラログラフ法による分析化学的研究(第37報)水銀池対極を用いるポーラログラムに現われる異常波
石橋 雅義藤永 太一郎伊豆津 公佑
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1961 年 82 巻 2 号 p. 206-209

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抄録

著者らは,水銀池を対極として金属イオン溶液(たとえば4mmol/l-Cd2+,1N KCl)の電流加電圧曲線をくり返し記録した際,還元波の波形が段々と変化し,あたかも電極反応が変わったように異常に小さい加電圧で前波が現われることを見いだした。この波の変化は水銀池電位の変化によることを証明した。電解中,水銀池の雷位はつぎの二つの理由により変化する。すなわち,1)陽極溶出による水銀池表面での水銀イオン濃度の増加,2)金属の還元によりアマルガム化された陰極滴下水銀の混合,である。第二の効果は大きく,金属イオン濃度が数mmol/lの場合,水銀池の電位はほとんどアマルガムの電位に達する。電解中の水銀池対極の電位を種々の条件下で自記記録し,水銀池の表面積の大きさ,金属イオンと支持電解質の種類と濃度の影響などにつき検討した。得られた結果をボルタメトリー的に説明した。

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