1961 年 82 巻 2 号 p. 239-242
ケイソウ土を担体とするニッケル-銅混合触媒を用いてエナントニトリルの気相接触的水素化反応を行なうと,200℃付近で約90%のジ-n-ヘプチルアミンと微量のn-ヘプチルアミンとを生じ,250℃付近以上ではさらにシアン基の開裂および離脱反応も起ってn-ヘプタンおよび-ヘキサンを少量ずつ生成する。300℃付近では低分子化合物への分解が多くなる。ヘキサヒドロペンゾニトリルの水素化反応では,200℃付近で約58%のジヘキサヒドロペンジルアミンと約19%のヘキサヒドロペンジルアミンとを生ずるが,300℃付近では脱水素反応が起ってベンゼンおよびトルエンが得られた。ベンゾニトリルの水素化では主としてC≡N結合が開裂してトルエンを生成し,シアン基の離脱によりベンゼンが副生する。これらの結果を比較すると,脂肪族ニトリル,脂環式ニトリルおよび芳香族ニトリルは反応の結果がいちじるしく相違することがわかる。
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