日本化學雜誌
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n-ブチルアルデヒドの液相光酸化における自己遅延反応
下村 国夫丹羽 英之
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1961 年 82 巻 9 号 p. 1244-1252

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抄録

液体アルデヒドの分子状酸素による酸化において反応途中,反応速度が顕著に低下することは自己迎延反応として知られているが,遅延効果の原因となる物質,機構については明らかでない。 1 例として n-ブチルアルデヒドの光酸化において, 0℃ 付近でやや強力な光源から紫外線を照射して酸化し,反応中に起る自己遅延効果についてしらべた。反応の副生物を検索,照合した結果この遅延効果は水の存在による,水についてのみ認められる特性的な現象であることを知った。アルデヒド光酸化の開始,生長,停止および生成物過酪酸の分解の各素過程についてしらべた結果,水の生成は開始機構の副生物としてホルミルラジカルから誘導されるものと結論され,その遅延機構については水分子と連鎖生長ラジカルとの反応が,本来の停止反応と競争的に寄与するとして導いた速度式によく一致する実験結果をえた。

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