日本化學雜誌
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N-ビニルイミド系化合物の合成
加藤 清和田 四郎
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1962 年 83 巻 4 号 p. 501-502,A32

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抄録

N-バビニルイミド系化合物の重合体は一般にその軟化点が高いので,他のビニル化合物との共重合により重合生成物の軟化点を高めるのに利用される。同時にその一部をケン化するとナメシ剤,タンパク凝固剤,繊維の染色性をよくする助剤などに使用されるなど実用的な用途がいろいろ知られている。
著者らはショウノウから導かれる無水ショウノウ酸(I)をもちい,また耐熱性の高分子化合物を得る目的でテトラクロル無水フタル酸(V)のN-ビニル誘導体の合成を試みた。1またはVを等モルのエタノールアミンと加熱すると縮合反応により,それぞれオキシ化合物(II),(VI)になり,IIおよびVIを無水酢酸と加熱還流するとアセチル誘導体(II),(VII)が得られた。IIはアセトン溶液とし,VIIはベンゼン溶液としそれぞれ550℃,600℃で熱分解すると脱酢酸をともない,それぞれ赤外吸収スペクトルからN-ビニル化合物(VI),(VII)であることが確認された。IVをベンゾイルペルオキシドの存在下で重合すると,光学活性な興味ある重合体が得られた。一方o-ベンゾイルスルホンイミドのカリウム塩とエチレンクロルヒドリンからオキシ化合物(IX)を合成し,さらに前述したと同様な方法でそのアセチル誘導体(X)を460℃~470℃で熱分解すると,N-ビニル-o-スルファモィルフタリミド(XI)が得られた。

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© The Chemical Society of Japan
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