1962 年 83 巻 5 号 p. 560-565,A35
古くから分析試薬として使用されているルベアン酸の銅錯体は配位高分子であると推定される。その粉末状の微細結晶を加圧成形して電気伝導度を測定した結果,比抵抗の値がかなり小さいことがわかった。ルベアン酸の水素原子を各種の有機基で置換した誘導体が合成されているが,それらの銅錯体を新らしく合成して,ルベアン酸銅の場合と同様な1:1と推定される配位高分子4種(ジメチル-ジベンジルー・ジシクロヘキシル,ビス-(オキシエチル)-躍換体の各銅錯体)を得た。これらの錯体も比抵抗の値がかなり小さく,温度変化のようすも半導体的である。これらすべてのうち室温での比抵抗はルベアン酸銅がもっとも小さく,一般に置換基の小さい置換体の錯体が比抵抗も小さい傾向を示す。シクロヘキシル誘導体の銅錯体はクロロホルム,ジォキサンおよび四塩化炭素に部分的にとける。
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